相続放棄をしたいのに被相続人の最後の住所地が分からない場合
1 相続放棄の際の被相続人の最後の住所地の調べ方
相続放棄の申述は、被相続人の最後の住所地を管轄する裁判所で行う必要があります。
管轄する裁判所を判断するために、被相続人の最後の住所地を調べる必要があります。
被相続人の最後の住所地は、住民票の除票または戸籍の附票から調べることができます。
2 住民票の除票
⑴ 住民票の除票とは
住民票の除票とは、転出や死亡によって住民登録が消除された住民票のことです。
除票事由(消除された理由)が死亡となっている場合、除票に記された住所が被相続人の最後の住所地となります。
⑵ 請求する窓口
住民票の除票は、被相続人の住んでいた住所地の市区町村の役所で請求することができます。
3 戸籍の附票
⑴ 戸籍の附票とは
戸籍の附票とは、戸籍が作成されてから(またはその戸籍に入籍してから)、現在に至るまで(またはその戸籍から除籍されるまで)の住所が記録された書類です。
戸籍謄本と一緒に保管されています。
戸籍の附票にも、被相続人の最後の住所地が記載されています。
⑵ 請求する窓口
戸籍の附票は、被相続人の本籍地である市区町村の役所で請求することができます。
4 死亡届記載事項証明書
⑴ 住民票の除票・戸籍の附票が取得できないケース
住民票の除票・戸籍の附票は、令和元年6月20日施行の住民基本台帳法施行令の一部改正により、保存期間が5年から150年に延長されました。
しかし、既に保存期間を経過したものについては廃棄されており、取得できない場合があります。
たとえば10年以上前に亡くなっていた親の借金が判明し、相続放棄をするというようなケースでは、住民票の除票や戸籍の附票から被相続人の最後の住所地を調べられないことがあります。
こういったケースにおいては、死亡届記載事項証明書という書類の取得を検討する必要があります。
⑵ 死亡届記載事項証明書とは
死亡届記載事項証明書とは、被相続人の最後の住所を含む、死亡届に記載されていた事項を証明する書類です。
被相続人の本籍地の法務局で管理されています。
⑶ 請求する窓口
令和6年3月1日以降に死亡届が提出された場合は、提出された市区町村もしくは本籍地の市区町村が窓口となります。
令和6年2月29日までに死亡届が提出された場合は、本籍地の市区町村を管轄する法務局が請求の窓口となります。
ただし、死亡届記載事項証明書が発行されるのは特別な場合に限られています。
相続放棄のために死亡届記載事項証明書を取得しようとする際には、発行の流れや必要な書類などについて、事前に窓口に確認してください。